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お知らせ
News Release

2025
06/19

C57BL/6JmsSlcマウスの全ゲノム解析

[異毛色について]

2023年頃より、弊社が取り扱う雌性C57BL/6JmsSlcマウスにおきまして、本来の黒色とは異なり赤味を帯びた黒茶色の異毛色個体が散見される事例がございました。この度は、お客様にご心配並びにご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

本件が判明して以降、弊社では該当するマウスコロニーより異毛色個体の除去を進めてまいりました。その結果、現在では異毛色個体は確認されておりません。また、東京大学医科学研究所 真下知士教授、吉見一人准教授、京都大学医生物学研究所 近藤玄教授、東京農業大学 庫本高志教授、東京医科大学 須藤カツ子講師のご指導を賜りながら、原因の究明を目的とした調査を実施いたしました。調査の一環として当該マウスの全ゲノム解析を行いましたが、異毛色の原因となる遺伝子変異は特定できませんでした。

再発防止策といたしましては、維持集団の世代決定時に毛色の選抜基準を設け、引き続き厳格な管理を行って参ります。今後も異毛色個体の発生がないよう、飼育環境の改善、マウス飼料の適切な管理、日々の観察の徹底など、より一層努めてまいります。なお、原因究明の調査に時間を要したため、ご報告が遅くなりましたことを重ねてお詫び申し上げます。

 

Ppef2遺伝子の変異について]

今回C57BL/6JmsSlcマウスの全ゲノム解析を行った結果、C57BL/6Jリファレンスゲノムと比較して変異が確認された遺伝子がありましたので、追加でご報告いたします。Ppef2 (protein phosphatase, EF hand calcium-binding domain 2)遺伝子において、タンパク質のcoding内、exonを含む領域に211bpの欠損変異(欠損位置Chr5 92376382-92376594)がみられました。

Ppef2遺伝子は、カルシウム結合タンパク質ファミリーに属し、セリン/スレオニンホスファターゼとして機能するタンパク質をコードします。ヒトでは網膜の視細胞で発現が確認され、視覚系での役割が示唆されていると共に、神経系での機能も示唆されています。マウスでも同様にPpef2遺伝子は網膜で発現し、視覚機能に関与していることが報告されています。一方で、Ppef2 KOマウスでは正常マウスに比較しても光応答に差がないという報告1)もございます。 

なお、本変異は今回の異毛色と関連する可能性は低いと考えておりますが、C57BL/6JmsSlcマウスをご利用いただく際には、本内容をご確認いただきますようお願い申し上げます。今後とも、引き続きC57BL/6JmsSlcマウスをご愛顧賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 

1) Pradeep, R., Matthew K., Wei-Hong X., John W., Mitra C., Diane B., King-Wai Y., James B. H., Jeremy N. (2001) Normal Light Response, Photoreceptor Integrity, and Rhodopsin Dephosphorylation in Mice Lacking Both Protein Phosphatases with EF Hands (PPEF-1 and PPEF-2) Mol Cell Biol. 21(24):8605–8614.

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