責任と誇りを胸に
仕事と家庭を両立

私の育った家庭は両親が共働きで、仕事と家庭を両立しながら私を育ててくれた母を日頃から尊敬していたため、将来は自分も「働く母」になりたいと思っていました。当社を選んだ理由は、大学で学んだ分子生物学や環境生化学の知識を活かしつつ、家庭との両立もしやすい「品質管理」という職種に魅力を感じたからです。品質管理の仕事は出張や転勤が少なく、日々コツコツと検査を進めるので、家事や育児をこなしながら長く続けられるだろうと考えました。大学時代はマウスやラットに触れた経験が全くありませんでしたが、遺伝子の品質管理という未経験の分野に興味を感じたのも決め手になりました。

品質管理部では良質な実験動物を供給するため、微生物モニタリングと遺伝的モニタリングを実施しています。遺伝検査室ではDNAを抽出してPCR検査を行い、病原体や遺伝子変異の有無を確認します。1μL程の微量なDNAや試薬を扱う緻密な作業で、試薬の取り方のわずかな違いが結果に影響するので、丁寧さと正確さが求められます。また、お客様からのご依頼や検査方法の改善のため、論文から情報を収集して新たな検査案を計画することも日常業務の一部です。

入社後に結婚、出産を体験しましたが、職場復帰後の「働く母」としての毎日は想像以上に大変でした。近くに頼れる両親もおらず、フルタイムで働きながら家事と育児をこなす日々。慢性的な睡眠不足で思うようなパフォーマンスが出せず、子どもの急な病気で休むこともあり、同僚に迷惑をかけているのではないかという思いに押しつぶされそうでした。そんな時、当時の上司（現在の社長）から「今は続けてくれるだけでいい。時が来たら頑張ってもらうから」と声をかけてもらえたおかげで、肩の力がすっと抜けました。また、職場に同世代の女性が多く、仕事と家庭の両立や子育てなどについて相談できたことも大きな支えとなりました。今では子どもも成長して家事を手伝ってくれるようになり、私の仕事を一番応援してくれる存在になっています。

社内にはアクティブな同僚が多く、独身時代はスキーや遊園地によく出かけました。子どもが生まれてからは家族ぐるみでバーベキューやクリスマスパーティーを楽しんでいます。同僚と飲み会や「推し活」に出かけることもストレス解消法の一つです（笑）。こうして公私ともに支え合える仲間がいることで、仕事も人生もより豊かになっています。

品質管理部は9名の少人数で、風通しの良い職場です。上司もよく話を聞いてくれるので、各自の意見が仕事に反映されやすい環境があります。そのため、検査のバックグラウンドまで理解が深まり、問題点や改善案も自然と浮き彫りになることが品質の向上に役立っています。検査の仕事はサンプル数が多く、一つひとつの作業に緻密さと正確さが要求されますが、「検査を成功させる」という面白さがこの仕事の醍醐味です。検査が滞りなくスムーズに進むと達成感があり、その積み重ねが自己の成長につながっています。

実験動物の命に支えられている仕事を通じて、命の尊さを深く理解できるようになり、生き物への愛おしさも深まりました。当社では実験動物の慰霊祭も行っており、この仕事を通じて無駄な命は一つもないのだとあらためて感じるようになりました。職場には自然や小さな生き物を大切にする人が多く、ハチやイモムシを慈しんだり、バードウォッチングを楽しんだりしています。以前は小さな蜘蛛に逃げ回っていた私も、今ではそっと逃がすようになりました。

私たちが良質な実験動物をご提供することで、お客様のもとで正確な検査データが生まれます。それが様々な研究の礎となり、新薬開発など医療や社会の発展に貢献していると実感できることが当社の大きな魅力だと感じています。

仕事に求めるものは人それぞれですが、私にとって仕事は生活の一部。すべてではないけれど必然であり、楽しみでもあります。その拠点である浜松は、自然が豊かで気候が良く、街中へのアクセスも便利で、とても暮らしやすい街です。県外出身者に対して優しく接してくれる人が多いのもこの地域の魅力です。SLCに興味を持たれた方は、ぜひ一緒に浜松での生活を楽しみましょう。